皆さんは、小さな頃どんな絵本を読んでいましたか?または読んであげていましたか?皆さんの心に残る一冊は何でしょうか。
我が家の一番人気は「ゴムあたまポンたろう」でした。特に下の娘が大の”長新太”好きで、当時、夜9時までにお布団に入れば、娘2人それぞれ選んだ本を3冊ずつ読んであげる!という事にしていたのですが、妹の方は毎日毎日ゴムあたまポンたろうを持ってきて、お姉ちゃんに「え〜またこれ〜??!」とどやされたものです。が、ひとたび長新太の世界観に入ると、ドヤしていたお姉ちゃん本人もゲラゲラ大笑いして^^、本当はこちらとしては、読んであげているうちにウトウト寝ていって欲しいのですが、眠るどころか目は冴え冴え!心は最高潮〜!!!となってしまうのでした^_^;…。そんな生活が、上の娘が小学校高学年になる辺りまでは続いたでしょうか。お陰で、私も主人も、本当に沢山の絵本に出会うことができました。ちなみに、1人3冊まで選んでよい!という太っ腹システムは、21時を10分回るごとに計6冊のうちから1冊ずつ減っていく…というシステムで、2人とも、お互いが3冊選びたい一心で急いで寝る支度をする!という好循環を生み出していました( ✌︎’ω’)✌︎ 。が、21時を過ぎようもんなら、どちらの一冊を減らすか…本棚の前でよく言い合いしたり、下の子が上の子にまるめこまれたり、時に小突きあいしてる姿も今となっては良い思い出です。
ここにご紹介するのは、ある有名絵本出版社の編集長さんのお話しです。
「絵本は、いきなりはじまって、いきなり終わってもいい。何の断りもなく家がいきなり話しだして、山からチョコレートが吹き出して、何が原因でそうなったかも一切問わない。絵本に一切の因果律はなじまない、いや邪魔なのです。そもそも赤ちゃんや子どもは世の中わからない事だらけ、もともと分からないのだから不安もない。存分に開放された自由な心だからこそ、理由など考えず笑えるしワクワクできる。分からないけど心地が良くて、分からないけど気持ちがいい。ウキウキ心が動き出す…。それが、ごくごく自然に受け入れられ、それこそが子どもの好奇心を育てるエネルギー、絵本の醍醐味なのです」
そしてその方は、こうも仰っています。「子どもたちは、因果律とは全く無縁の世界で生きていますから、大人たちが、因果律だけで子どもの事を考えると、本来見えるものが見えなくなってしまいます。絵本は芸術一般です。人は決して因果律通りになどいかないものです。だからこそ芸術が現役で、その役割が大きいのです。私たちは、真剣に考えなければなりません。どんな絵本が良い絵本か…。どんなものを子ども達に与えていったら良いのか……」
このお話を聞きながら、私は同時に幼少期のピアノのあり方について考えていました。ここ数年、今流行りの、”ピアノは頭が良くなる、脳トレ〇〇、脳を鍛える〇〇”そのような文言を見聞きするたびに、何だかモヤモヤしていたのですが、そのモヤモヤが少しずつ晴れていくような気がしました。
ピアノは、その場にいながらにして、海でも山でも王宮でも、世界中どこへでも連れて行ってくれます。ただし、それが自分の心の中にあったらば…‥のお話です。子供達は勿論、大人になってもなお、いつだって、縦横無尽にどこへだって行けたら素敵ですよね。私はそのためにピアノをやっているんだな、と、あらためて思いました。あくまで「芸術ピアノ」をやりたくてやってるんだ…と。
小さな子ども達がいずれ成長し、ベートーヴェンやシューマンを弾く頃になった時、それらの作品を前にして一体何を思うのか。その子たちが目に見えない空間をどう感じ、どう表現してくれるのか。それは、因果律など関係ない子ども時代に、何を見聞きして過ごしたか…が、深く深く結びついていると実感します。
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