とうに育児を卒業した今、毎日多くの小お子さん達と過ごさせていただく中で、自分が親だった頃には見えなかったものが本当にたくさん見えてきます。いつの時代も親というものは「我が子は健康で元気ならそれでいい」と頭ではわかっていても、心の奥底には様々な想いが湧いては消え、消えてはまた湧き…の連続で、昔の我が身を振り返っても本当にこればっかりは厄介ですね><
自発的に練習する子に育てるには?…表現力豊かな子に育つには?…親ができるサポートとは?……このようなご質問をいただくたびに、私の大元の答えはいつも三つで、「①栄養満点のご飯を作ってあげること。②沢山絵本を読んであげること。③笑顔で見守り信じてあげること。」
②については、絵本に勝る情操は無い!と心から思っています。教育学者の齋藤孝先生のインタビュー記事の中に、次のようなものを見つけたのでここにご紹介させていただきます。いくつかのインタビュー記事からの抜粋です。
「幼少期から、本来の成長度合いに相応しく無い形であまりに色々な知識を詰め込まれ過ぎると、子供独特の世界で思いを巡らせたり空想したりすることをしなくなり、将来的に集中力(ゾーン)を手に入れられにくくなる。ゾーンとは、いざ何かに没頭しないといけない時に、”周りの邪魔なものや音を遮断し今向き合わなくてはならない物事に集中しきる”という感覚のこと。幼少期のあいだに、この”ゾーン“を手に入れる事が何より大切で、それには絵本が最適。絵本はページをめくる間の空間の時間を、頭の中で繋ぎ合わせ埋める作業をしないといけない。本来目の前に無いものを想像したり、次のページを考えてドキドキわくわくしたりする感覚が、そのような”集中の為の種”を育てるのである。」「あなたのお家には絵本は何冊ありますか?およその目安は一軒に100冊です!。毎週図書館で10冊ずつ絵本を借りて、その中から本当に欲しい本を選ばせお金を出して買ってあげて、自宅の本棚の絵本が10冊‥20冊‥30冊‥と増えていって、あなたのお家の本棚に絵本が100冊並んだ時、やっと子どもの想像力や創造力、好奇心を育み始めると思ってください。借りて終わるのではなく、好きな本は是非買ってあげてください。絵本との距離感がまったく違いますし、何より好きな絵本は繰り返し読みたくなるもの。読みたい!と思った時にいつでも繰り返し繰り返し手に取れる環境が本当に大切なのです……」と。
特にまだ現実と空想の狭間にいる3歳頃までは、とにかく想像力を膨らませる体験を沢山させてあげたいです。本来目の前にないものを、まるであるかのよう心の目には見えていたり、心の鼻は匂っていたり、心の耳は聴こえていたり…。知育、育脳、脳トレばかりに走らず、心の宝物が増える時期を見逃さないこと。音符としてのドレミなどは正しく導いたらいつでもあっという間に覚えられるのだから、まずはとにかく心を動かすこと。心が動く環境づくり。丁寧に時間をかけて、心の目、心の耳にじっくり向き合えば向き合うほど、就学してからどんどん本来の才能が開花すると思います。でも決して才能を開花させるためではありせん。とにかく絵本のように音楽を経験して欲しい‥その時間が本当に楽しいから。ただそれに尽きるのです。
(絵本とピアノの関係についての過去のブログ)
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