先日、百合子先生が北名古屋市内の小学校にお邪魔しました。小学生の方々に生の音楽をお届けできるこのようなアウトリーチの企画は素晴らしいですね。企画運営をなさっているムジカフェンテの先生方、いつも本当にご苦労様です。この日は、フルートそして声楽の方々とご一緒したそうですが、普段ピアノという楽器は孤独な楽器なので、皆さんとアンサンブルさせていただける時間が本当に楽しいそうです。共演くださいました皆様、ありがとうございました。しかし、ピアノは自分の演奏だけでなく、すべての楽器の伴奏をしなくてはいけませんから、始めから終わりまで出ずっぱりですね。毎朝いつも私がレッスン室へ行くと、大量のバッハの楽譜と(←自分の演奏のための準備)、大量の伴奏の楽譜がピアノの上に積んであります。今は丁度、他の演奏会の伴奏も抱えていますし自分自身の沢山の練習もありますから、夜のマスターコースの生徒さんレッスンの後、そのままピアノ室に篭ってかなり遅くまで練習してるようです。ピアノは両手ともで和音が弾けるばっかりに><音符の玉数も他の楽器より圧倒的に多いですし、演奏会に向けての準備はやはり猛烈に時間のかかる楽器ですね。でも、一人どこへ行っても伴奏者なしで演奏できますし、勿論、他の楽器とも交わることもできますし、支えることもできます。出来ることの選択肢が多いというのは、やはり素晴らしい楽器です。それだけに準備期間の仕事量が半端ではないですが…><
先日ピアノの譜面台の上に、百合子先生の走り書き楽譜が置いてありました。清書前の聴音問題の楽譜です。大学受験生のための問題だそうですが、現在高3生、中2の時にお預かりしましたからかれこれ5年目、我が家にはかなりの冊数の問題集がありますがほぼ全てやり尽くしてしまったとのこと、また、規制の問題ではもうレベル的にどれもすぐ取れてしまうので(問題が解けてしまうということ)毎回聴音問題を作ってあげているそうです。サラッと弾いてみましたが、とてもよくできていて感心してしまいました。本人曰く、前回レッスンで躓いた箇所をピンポイントで反復できるようかなり時間をかけて問題を作っているとのこと、ほぼ無調(初見ではとても弾けません><)それだけに、生徒さんが異名同音で書いてしまった場合、正しい答えが導き出せるよう楽曲分析したり、和音記号やメモ書きが沢山残されていました。こうやって指導者が頭を捻って手塩にかけた問題を、受験生が未来の夢を叶えるために紐解く…ソルフェージュの時間にさえ芸術の尊い時間が流れているなぁ〜と嬉しくなりました。「でもね、これやろうと思うと自分がかなり勉強をしなくちゃいけないから、本当に自分の演奏に役に立ってるの。ありがたい」……音楽学生さんをみていても思いますが、つくづく、音楽家とは心底勉強が好きですね^^;そして一生学びは続きます。
それにしても、ソルフェージュ、私立大学では少しずつなくなっている大学もあると聞きますが、どうしてでしょう？？？？絶対的に必要なのに。日本のように、ただ受験用の、淡々と問題を弾いてもらって書きとるだけの聴音ならあまり必要ないかもしれませんが、その奥の奥を知ったら、ソルフェージュ能力のない演奏家は底が見えてしまいます。特にアンサンブルをやりたい方は(伴奏者も含めて)絶対的に必要な能力です。以前、東京藝大の受験について、ソルフェージュ科の学科紹介動画を拝見しましたが、担当の先生のお話が本当に素晴らしかったです。ある受験生が「和声聴音が苦手ですが、何かコツはありますか？」という質問に対して、担当教授は次のようなことを仰っていました。「コツは…と聞かれれば無いわけではない…。ただし、コツを知って解いたとしてそこに果たしてどのくらいの意味があるのでしょう。楽譜を音にしていく作業は、役者が戯曲を読み込んで台詞をどんな風な言い方で表現しようか考えていく作業と何ら変わりありません。台詞をどんな口調で言おうか…どんなトーンで言おうか…どんな間合いで言おうか…戯曲の背景や場面や、相手の台詞の温度などから考え、知恵を絞って読み取って、あなたが感じた口調で言うから説得力のある台詞が生み出されるのですよ。私たち音楽家は、そういう事をやっているのです。ソルフェージュ力とは、正にそれを手助けする大切な能力です。ぜひコツなど掴まず、一つ一つ丁寧に考えクリアしていってくださいね」と。
受験科目だからやってるのではないのですよね。自身の演奏のためにやっているのですよね。楽譜の奥に何が書かれているのか探るために、あなたの心で感じるためにやっているのですですよね。そしてその作業はとてつもなく楽しい！のですよね。全国の音楽専攻を目指す中学生さん、高校生さん！ソルフェージュ能力は、楽譜の奥を知るためには必要不可欠な能力です。あなた自身の演奏にとって本当に本当に大切です！やればやるほど絶対的に底力になりますから、コツコツと頑張ってくださいね！ファイト！！！
コメント