ピアノは心の冒険の場・コンクールは学びの場

全国のピアノ愛好家の方達の中には、夏といえば「ピアノコンクール!」という方達もいらっしゃると思います。コンクールに挑んでいらっしゃるご家庭では、この夏休み、どんな風に音楽が存在しているでしょうか。

ピアノ(音楽)は心の経験、心の冒険、ワクワクしたりきゅんきゅんしたり、寂しく感じたりキラキラしたり…様々な”心の体験”をする場だと思います。そしてコンクールは学びの場。知りたい欲と、知る事ができた喜びと、どこまで行っても何歳になっても学ぶことはとにかく楽しいです。

私たち指導者は勿論、親御さんもこの様な姿勢でいてくださるご家庭のお子さん達は、とにかく好奇心旺盛監視や見張りの眼差しでなく、一緒に学ぶという眼差し…。皆んなお家に帰ってもまだまだ疑問が湧くのか、相変わらずあっちからもこっちからもLINEで質問動画が送られてきて、各々沢山の質問をしてくれます。それを見ると、ピアノ脇にぬいぐるみが置いてあったり(励ましてもらってるのかな?)パジャマ姿だったり、へぇ〜^ ^皆んなこんな風にピアノを頑張ってくれてるんだなぁ〜とジーンときます。来る日も来る日もこんなにも、バッハと…ショパンと…メンデルスゾーンと一生懸命に対話をしてくれていて、本当に嬉しくなります。コンクール本番うまく弾けるのか弾けないのか…そういう事よりも、一生懸命自分の頭で考えて、こんな風に作曲家と対話しているこの時間こそが、本当に尊い芸術の時間で、そこにこそコンクールの目的がある事をご理解いただきたいです。

好奇心の塊の子供達からは、日々のレッスンの中で実に沢山の質問が飛び出します。「先生!どうして先生は、バッハ…なんてそんなに昔の事がわかるの?誰かに聞いたの?先生も、先生の先生に習ったの?」「今日は特別なモノを見せてあげるね。ほら、こんな風に当時の楽譜が残ってるんだよ。ここはバッハが書いたのかなぁ〜、これはバッハの奥さんのアンナが書いたのかなぁ〜。先生も沢山疑問に思ったから、いっぱい調べて、いっぱい弾いて、いっぱいいっぱい考えて、考えてもわからない時は、色々な先生たちに意見を尋ねてみるよ。大きいお兄さんやお姉さん達もヨーロッパの先生達から教えてもらった事を沢山持ち帰ってくれるから、知らないことはお互いに意見交換しながら、今でもずっとずっと勉強してるんだよ。」「ふ〜ぅん、先生も知らないことがあるってこと?」「勿論!だから先生もまだま勉強してるんだよ。いっぱい勉強すると、いっぱい知らない事が出てきて、どうしてもその事が知りたくなるからまた勉強して…。知らない事がわかった時は本当に嬉しいよね」

感じ、考え、積み重ねる。コンクールの機会が、子供達にとって、いつもいつもこの様な場であります様に。考えもしないでメッキを塗ってしまうのではなく、考えもしないでただただ言われた通り真似するのではなく、皆んなの数少ない音楽経験の中で、その中でも頑張って一生懸命考えて、立派な演奏でなくても、その時々で等身大の精一杯の演奏をしてくれたら本当に嬉しいですピアノは心の冒険、体験の場。コンクールは学びの場。親御さんは決して”監視”の眼差しでなく、是非”学び”の眼差しで。

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