マスターコースの音楽づくり

先日の楽しい”すごろく”とは打って変わって、マスターコースの方は、この時期、多くの課題を抱えて奮闘していらっしゃる事と思います。特に受験生は、試験本番で自分の体や思考がどうなるか知るために、多くのステージを踏み、機会ある毎にフルコンサートピアノでの経験を重ねています。

大きなピアノで自分の音楽を表現するにはどうしたらよいでしょうか。将来的には、本番の楽器を想定した自宅練習ができるようになると思いますが、中・高生はまだまだその匙加減を量るには経験が足りません。大きな楽器、大きなホールになると、響きも・広がりも自分の楽器とはまるで違って、思い通りにいかない方も多いはず…。

日頃、レッスンの中では、”音のしっぽを聴く練習”ということを沢山やっています。ホールで大きなピアノを弾くと音のしっぽがよ〜くわかりますね。普段ただでさえ弾き急いでしまう方は、楽器が大きくなるとますますその癖が強調されてしまいます。全ては、音のしっぽを聴いた上で次の音をチョイスしていないからでしょうか。響きが増えれば、フレーズの作り方も(特に末尾)ペダリングも、より細かな目盛りで確認しなければなりませんね。本番目前の方は、今からテクニックの大改革は難しいので、ラストスパートその確認を丁寧にやっていただきたいです。

マスターコースの中には、まだ小学校低学年なのに、長時間レッスンにも集中して挑まれ、多くの経験を重ねている方もいらっしゃいます。大きくなってからテクニックの大改造などしなくてもよいように、本来は、小さなうちから地道に基礎を積み上げたいものです。ですが、大切なことは、小さな頃はとにかく楽しい事が何より一番。上手くなることが楽しい!舞台で弾くことが楽しい!誰かに聴いてもらって褒めてもらえることが楽しい!何でもいいのです、”ピアノを自在に弾ける喜び”を肌で感じ取って頂きたいです。その気持ちがある前提で、”どんなふうに楽譜を読むか”…”ピアノという楽器をどんなふうに鳴らしていくか”…決して気持や感性だけに頼るのではなく、将来的に奥深い音楽を奏でられるよう、テクニックそのものもしっかりと勉強していただきたいです。このように書くと、とても機械的なことを言ってるように聞こえてしまいますが、いえいえ、気持ちとテクニックは常に一心同体です。表現したい気持ちが溢れているのに、どんな風に道具を使えばそれを表現できるか知らないでいると、ただ感情に任せて無駄に体を揺らしたり、硬くしたり……。心にはせっかく良い音楽を持っていらっしゃるのに、ご本人の手から出てくる音楽は感じているものとはまるで違う…これは、本当に勿体ないことですね。

ご自宅では、レッスンの中でやったことを繰り返し反復なさり、体にすり込んでいっていただければ、と思います。特に外部の先生からお預かりしている方達は、次のレッスンまで期間が空いてしまいますから、その間も、良い響きで楽器を鳴らすためのテクニック作りを、コツコツ積み重ねていってくださいね。

専門の学校に進まれる方は勿論、音楽以外の道に進みつつマスターコースで学ばれている方も、音楽を生涯”心の支え”として、とことんピアノを追求し、皆さん自身の人生をより深く豊かなものとしてくださったら嬉しいです!

春まであと一踏ん張りですよ!!

みんな頑張れ!!!

コメント