小さな方の”手・指の形”について沢山ご質問をいただいているので、私の思いをお話ししたいと思います。
まずはズバリ一言!!導入期の「指先は丸めてね」はやめましょう!!
手は丸くしましょう・指先は反らせないでね・指の付け根は凹ませないでね・手首は下げないで・上げないで……習いたてのお子さんに、このような表面的な言葉だけを言い続けると、本来ピアノを弾くための柔軟な体を真逆の方向へ導くことになり、以後、固まったままのピアノ人生を送る事になる方がいかに多いか……。
少し大袈裟に聞こえた方もいらっしゃるかもしれませんが、この事については、ある程度の進度までは、一見問題ないかのように進んでいけるので(本当はたくさんの問題が起こってる…)、多くの先生方もつい見過ごしがちだと思います。が、更にその先、専門的な学びを続けていこうとする方達にとっては、自分が当たり前と思ってやってきた事が実は真逆で、表現の妨げになっていたことにはじめて気づき、以後、そこから果てしない努力の日々が始まる……。ここまで本当にたくさんの若い方の、悔しい涙、苦しい涙、ゴールが見えない焦りの涙を見てきた身としては、導入期の、執拗以上に「手指を丸く」というアプローチに対して、もっと慎重になるべきだと声を大にして言いたいです。
何が真逆か………。ピアノを弾く時の手や体は、常に解放(開放)されていなくてはなりません。強い音を出す時でさえ、力を”溜め込む”方向ではなく、”放つ”方向に働かせなくてはならないのです。ですが、習いたてのお子さんに手指は丸くしようね…というと、大抵、猫の手のように内側へ力を入れて丸めることをするでしょう。丸めるために内に向かって力を入れると、手首も固まる。手首が固まれば肘も固まる。肘が固まると可動域が狭くなるから、窮屈さを逃がそうと肩が上がる。肩が上がれば胸も固まる。胸が硬くなれば呼吸も浅くなる………このように、指先を内側へと巻き込む行為は、手だけでなく、腕・肘・肩・胸・股関節、体全てを内へ内へと力を溜め込む方向に導いてしまうのです。
また、多くの場面で「手首は下がらないように」というアドバイスを耳にします。これも、そこだけを言われ続けると、お子さん達は何をするでしょうか。おそらく、腕や肘に力を入れて吊り上げ手を持ち上げるでしょう。指で支えて倒立するのではなく、肘や腕が手を吊り上げる……。
フォームについて、日々私たち指導者が発する言葉に対して、子供達はその言葉の表面的なことだけをストレートに受け取り実行します。目で見て”下がってないからOK。凹んでないからOK。ふわっとしてるからOK”。いえいえ、表向きにはそう見えているかもしれないけれど、”脱力”という言葉や”手は丸く”…の言葉の奥には、もっと複雑な事柄が絡んでいるはず。手の中の様々な筋肉の働きのこと。支えるにも”匙加減”。脱力するにも”力の方向”。などなど、言葉一つで簡単に支えられるものでもなければ抜けるものでもないはずです。筋肉は突っ張っていませんか?二の腕は?脇は?お腹の下の方の支えはどうなっていますか?胸は硬くないですか?お尻のどこの骨で座っていますか?股関節は固めてしまっていませんか?…………
小さなお子さんの、ガチガチに固まった手や体に触れる度、”柔軟で且つ瞬発力ある俊敏な手”に育てるまでの過程と年月を思うと「わぁ〜〜またここからだぁ(-.-;)y-~~~」と一瞬気が遠くなります><。が、力みのない自然なテクニックは一生の財産です。更には、もしその中から専門の道に進みたいと言う方が出てきたら、その子達にとってピアノを弾くことは生涯続くのです。ピアニストはアスリート並みに体を使いますし、癖のある弾き方は、ある一定の筋肉ばかりを酷使しかねません。同じ姿勢で何時間も練習し続けるのは学生時代だけで終わるわけでなく、その後もず〜っと一生続くのです。正しいフォームを手に入れることは、ピアノの仕事は勿論、将来の「健康」にも関わる本当にほんとうに大切な事です。力みのないフォームを手に入れていただくために、皆さんの手を触って、体を触って、生の音を聴いてもらって、すぐそばでパルスを感じてもらって……気長に根気よくサポートしていきたいと思っています。と同時に、皆さんの体のコンデションも含めお預かりしている事をいつも心に留めて、私自身、体の学びの手を止めず一層精進していきたいと思います。




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