秋のはじまりに想うこと

芸術の秋ですね。学生の皆さんには、演奏会にどんどん足を運んで欲しいです。沢山の演奏会の中から、本物の音楽芸術を追求した演奏会を見極めるのは難しいですが、それも含めて勉強。とにかく足を運んでほしいです。ピアノに向き合った時だけ”どう弾こうか”と考えても、到底その向こう側へは行けるはずもなく、日頃から何を見聞きしているかが大切です。

人には、言葉に置き換えることなどできない感情が無数にあり、その感情に気づき、発見した時は、何とかしてそれを伝えたいと思います。が、日本語には存在しない感情なので、やっぱり伝える事が出来なくて、そんな時我が家では「今、心に風が吹いてる」と言っています。他の家族は、その時はそれがどんな感情なのか探ることはできませんが、お互い、芸術があって良かったと思います。作品や音楽でなら微妙なグラデーションの感情も表現する事ができるからです。

強靭な指も、手首の柔らかさも、腕の瞬発力も、胸筋の開放感も、揺るがない体幹も、勿論、説得力ある音楽を生み出すためにどれも丁寧に練習を積まなければならないのだけれど、でもその前に、あなた達はどんな音楽をやりたいのですか?あなた達の指は、今まさに何を思ってその音を出そうとしてるのですか?

日々の生活の中で、何を観て、何を聴いて、何を想うか、それがあなた達の音楽の基盤となっていくことを忘れないでほしいです。今からやってくる彩とりどり季節、色々なことに感心を寄せて、心が動く時間を過ごして欲しいです。

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