作品の力

そして、大和路ではいくつかの仏像を拝観しました。

その中の一つ、室生寺の本堂に安置されている「如意輪観音菩薩」に、私は一瞬で心を奪われ、しばらくその前から動けなくなってしまいました。

今回は次女に案内をしてもらったのですが、以前本人が、大学の古美術研修でこの地方に滞在した際、大和路の仏教美術のあまりの素晴らしさに感銘を受け、以来、「いつかお母さんを案内したい。きっと音楽にも繋がるから…」と言ってくれていて、ようやく実現しました。

到底文字では表せない。文字にした途端に、その時感じたものがきっと別のものにすり替わってしまうだろうから、あえて言葉にせずに心の中で大切に噛みしめたいと思います。

これが美術の力

これが作品の力

音楽の世界も、これまで数えきれないほどの作品が生まれて、その中でも淘汰されずに今の時代に「楽譜」という形で受け継がれ残っているものは、それだけでまずは価値あるもの。でも音楽作品の厄介なところは、そのほとんどが、作者自身ではなく代わって演奏者が代弁する…

本当は、どの作品もあの如意輪観音菩薩像のように、言葉にするのもおこがましいくらいの圧倒的エネルギーを放っているのに、一体そのどれほどを理解し、そして、どれほどのエネルギーを放てているのだろう…。

本来の作者の熱量を1ミリでも多く表現できるよう、心を割いて作品に向き合うことがどんなに尊いことか。日々、生徒の皆さんとそんな素晴らしい時間を過ごさせていただいていることに心から感謝して、また真摯にワクワク頑張ろうと思います。

女人高野 室生寺

(御仏像は全て撮影禁止。写真は境内の五重の塔)

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