自ら漕ぎ出していく力のために

好奇心からくる自発的な学びは、何事においても子供達の能力をより一層伸ばしてくれます。子供は本来”好奇心”の塊で、どんな冒険も恐れず自ら漕ぎ出していきたい!と願うのが人間本来の姿です。ですが、日常の大人の言動や行動によっては、子供達の冒険心は簡単に減ってしまいますし、”やらされている”と感じた瞬間から、好奇心の扉は閉まってしまうのです。

とはいえ、取り組む事柄によっては小さな子供に任せるきるには複雑なものもあり、どうしても大人の手助けが必要になるものもある……。正にピアノもその一つなのですが、では、「自発的にやっている」と感じてもらえるような手助けとはどんなものなのか。どの程度までのサポートが子供達の好奇心の邪魔をしないのか……。

まず一つ考えてみていただきたいのですが、例えば、我が子がはじめてクッキーを作りに挑戦したとしましょう。お子さん自身の手で作ったクッキーは、少々形が悪くても、ただ丸めただけでも、我が子が1人で頑張って作った事自体に親としての喜びを感じると思います。ですがピアノの場合はどうでしょうか。子供達の手指がまだ思うように動かないスタートの頃から、ちゃんと正しく弾きなさいと言いたくなる。つっかえてしまったら「もう一回やりなさい!!」と言いたくなってしまう…。

正にココ↑です。ピアノは、何もかも未熟な子供達からしたら、クッキー型を抜くより何倍も何倍も難しいです。なのに、クッキーは無骨でも許せるのにピアノの間違いは許せない。クッキーは、たとえ変な形でも自分でつくれたこと自体に心から喜んであげられるのに、ピアノは自分で弾いていることに喜んであげられるどころか、間違えないように弾いてほしいと思ってしまう……。

習い始め、ほぼ全てのお子さんがグチャグチャでも「もっとピアノを触りたい!」という気持ちを持ってくれています。ですが、大人は「弾くならちゃんと弾きなさい!」と言う。子供達はちゃんとした演奏など到底出来ないから、「それならやらない」となってしまう……。ピアノとはとてつもなく難しく、子供の脳からしたら毎日毎日かなりのハードルを越えているのにも関わらず、大人側のこの高すぎる要求の心そのものが、子供達を練習嫌いに導いてしまっているのでは‥と思います。

また、子供というものは、年齢が低いほど「お母さんの笑顔が見たい」と思っています。毎日毎日思っています。だけどピアノを弾くと、お母さんは喜ぶどころかイライラし始める…。何故でしょう、何故、我が子の弾く姿そのもを純粋に喜べないのでしょうか……。世のお母様方!どうかどうか、つっかえても、間違えても、無骨な演奏でも、まずはお子さんが自分の手でピアノを弾いている姿そのものに、もっともっと喜び感動していただきたいです。子供たちの純粋な好奇心が無くならないよう、少々雑でも、まずは存分に自分でやらせてみていただきたいです。そのうちお子さん自身が、ぐちゃぐちゃなままでは楽しくないと気づき始め、もっと上手く弾きたいと思いはじめます。次第に「これどーやって弾くの?」と、助け舟を求めてくるようになると思います。そうなったら「こんなに難しいことをよく1人でやってたね、すごいね。」と、まずは自分の力でやったことをたくさん誉めてあげて、そして、答えを導き出すための”ヒント”を与えてあげて欲しいです。隣で聴いてあげる時も、たとえ間違えたとしても、大人の側が「間違える事がダメな事」と心で思ってしまわず(言葉にするのは勿論NO!)間違えても間違えても何度でもチャレンジする気持ちを持ってくれるような言葉かけをしていただきたいです。何度も言いますが、ピアノはクッキーの型を抜くより何倍も難しいのです。子供の手や脳にとってみたら、相当に相当に難しいのですから、出来なくて当然なのです。

結局は、子供達自身に任せてみて→困ったら助け舟を出しヒントをあげる→漕いでいけそうだと思ったらまた任せてみて無骨でも見守る→困ったらヒントをあげる…………この繰り返しだと思います。子供達が何度躓いても、側にいるご家族がどれだけ寛大な心でヒントをあげ続けられるか…。いつも間違いを細かく指摘されてきたお子さんと、アドバイスはザックリでおおらかな声かけをしてもらったお子さんとでは、将来的に本番の出来栄えにかなり差ができてしまうと実感しています。細かく…より、ザックリ!です。結局それが、日常で親の前でも安心して練習してくれることにつながり、🟰イコール、将来練習が嫌いな子になるか、諦めず根気よく取り組む子になるかの分かれ道でもあるのです。

無骨な出来栄えは、必ず”考えること”につながります。その考える時間こそが、芸術の時間のはじまりなのですから、どうかどうかその尊い機会を奪わないで欲しいです。無骨な形が少しずつ綺麗になっていき、雑なものを少しずつ美しく整えていく時間は本当に楽しい時間です。子供達には是非その過程こそを体験して欲しい……。それは親御さんにも全く同じことを思います。時に本人に任せたり、こっそり補ってあげたりしながら、一つ一つ出来上がっていく過程そのものを、親子で楽しみながら進んでいっていただきたいです。 

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