コンクールに挑戦される方編①「コンクールの意義ってなんだろう」

(写真は練習の疲れを癒やしていただく為に、本文とは全く関係のないホンワカ日常写真です^^;)

ピアノが大好きで真面目に真摯に取り組んでいると、コンクールなどお勧めになる先生もいらっしゃるかと思います。親子で誉めていただいた気分になって、意気揚々と前向きに挑戦され、コンクールでもご褒美(賞)を頂けたり、時に残念賞だったり…。そうしていく中で、いつの間にか、親子共々少しずつ疲弊していき、気づくとピアノの事で喧嘩ばかりしている…なんてことになってしまっている方はいらっしゃらないでしょうか。情操教育と思って始めたはずの音楽が、いざこざの原因になっていしまっているとすれば、本当に悲しいことですね。

コンクールに挑戦する為には、多くの時間も費やしますし、お金もかかります。その上、目に見えて結果が出てしまうだけに、お母様方もつい余計に口を出したくなると思います。お気持ち本当〜によくわかります。口を出したら出したでかなりの確率で喧嘩になって後々猛省するし(/ _ ; )、出さなかったら出さなかったで上手くいかなかった本番後は大後悔したりして、お母さんの方がメンタル持たなくて泣きたくなりますよね><。でも、お母様方にサポートしていただきたい事は、極論、栄養のある美味しいご飯を作っていただく事くらいです。そして、どんな時でも笑顔で「ドンマイ!」とお声かけてあげてくださいませ。勿論、そんなに簡単にはくくれないので(^^;)具体的な内容については、また後日少しずつ書いていきたいと思っています。今日はまずはもっと根本的なことを。

そもそもコンクールに出る目的は何でしょうか。先生方からも「結果が目的ではありません」と、意義については散々お話ししていただいている事と思います。が、そうは言っても、先生方ご自身がブログで結果速報を記したり、インスタで賞状やトロフィーのお写真続々アップなさったりと、”気にしないで良い”と仰るわりには……何だか悶々とするのは私だけでしょうか。先生方がコンクールをお勧めになる理由については色々おありかと思いますので、その辺りのこともしっかりと見極めつつ、コンクールを勧められて、もしあまり乗り気でない場合、お子さんの練習程度がどのくらいなのか、どのくらいのレベルでのピアノ生活を望んでいらっしゃるのか、決して流されず、ご家庭としてのお考えをキチンとお話になるのが良いと思います。

あらためて、出たい!と気持ちの固まっていらっしゃる前提で、コンクールの意義について考えてみたいと思います。

☆「新しい曲との出会い」  レッスンの中ではあまり取り組まない曲が課題曲になっている場合もあり、新しいジャンルの曲に出会う事で自身の可能性が広がる。

☆「他人の演奏にも興味が湧く」  発表会などの和気あいあいとした雰囲気とは違い、本人の聴く耳のアンテナが良い意味でいつも以上に敏感です。コンクールとはいわゆる”読書感想文を発表し合うようなもの”で、自分と異なる演奏に出会った時、あれ?あの子はレガートだね、あの子は切ってるね、あの子のフォルテはキラキラだねなど、何かしら自分との違いを感じて心が動くのは間違いありません。この時初めて、同じ曲でも人により表現が違うことを知ります。

☆「深い学び」  より良い演奏の為に作品を分析してとことん掘り下げます。作曲者が伝えたかった事を、時間をかけて楽譜から読み解きます。読み解いたものを音として表現できるよう、今度はそれに必要なテクニックを探し磨きます。同時進行で、十分に伝わる演奏にする為に表現に相応しい心の緩急を紐解きます。*読み取って→道具を磨く→聴き手にどう伝わるか十分に表現できる心を目一杯育てる…とここまでは、日常のレッスンでもできることですね。(本人の士気にかなりの違いはありますが^^;)。コンクールと通常レッスンの違いは、更に本番で他人の演奏と聴き比べることで、自分の演奏を客観的に知ることができると思います。自分と他人との解釈の違いを考え、当日いただく審査員の先生方のアドバイスなどからも、再び楽譜に目を向け作曲者の真の意図をあらためて考える。楽譜をどう読んだのか、読むのか…。正にこの事こそが、コンクールの最大の目的と言ってもよいと思います。

☆「ホール・楽器との出会い」  ピアニストは、毎日練習している弾き慣れた楽器を会場に持っていく事ができません。中には、進学や、いずれは仕事という形で音楽を目指していくことになる方達もいらっしゃると思いますが、特にその方達は色々なタイプの楽器を触って試す必要がありますし、いろいろなホールの響きを確かめる必要があります。本番の楽器やホールに合わせて、その場で臨機応変にテクニックを微調整しなくてはならないからです。そこまでやって初めて、その日まで長い期間かけて積み上げてきた作品が、やっと本番で実現できるのです。そして、偉大な作曲家達が遺してくれた尊い作品が、本番でやっとやっと陽の目を見るのです。多くのお金をはたいてあちこちのホールを片っ端から貸し切るわけにもいかず、どんな楽器にあたっても理想の音が出せるよう対応力を磨く為に、コンクールという場を利用して、各審査員の先生方からいただく講評をヒントに、コツコツと自身の音楽を確立していくのです。

ざっと思いつくまま書いてみました。おそらく、他にも、*度胸がつく *忍耐力がつく *集中力がつくなど、理由は色々と挙げられると思います。ですが私が個人的に強く思うことは、ピアノコンクールに挑戦することによって得られる、その”何かしら”は、絶対的に、コンクールに出てしか得られないモノであって欲しいと思います。それが、スピーチコンテストでも、ドッチボール大会でも、習字や茶道でも得られるようなことではなく、音楽のコンクールに向けて取り組んだ事でしか得られないモノを、しっかり体験して得ていただきたいです。そうしてはじめて、結果度返しで挑戦することに意義がある…といえるのではないでしょうか。そこまで理解していただけたなら、これから経験していかれる本番に向けての日々、また、そのように積み重ねた上での本番体験は、結果や出来を超越して、皆さんの人生をより深く、濃く、豊かなものにしていってくれるに違いないと思います。

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