ピアノに疲弊していませんか

春にピアノコースに入会された方たち、そろそろ3ヶ月経ちますが皆さんとても頑張っています。私の教室では幼児のお子さんは45分、小学生になり幼児教材が終わっていくタイミングで徐々に60分レッスンに移行させていただくのですが、小さな頃”この子はいつか椅子に座れる日が来るのだろうか…”と思っていても^^;、親御さんの心配をよそに、時が来たらちゃぁんと60分レッスンを受けられるようになっていくから不思議です。中には、とても活動的で^^;、はじめの45分レッスンというのが本当に大変で(これは男の子に多いです)その場合は30分からスタートさせて頂くのですが、厳しく押さえつけてしまえば事は簡単………でも、できればそれはあまりしたくありません。何故ならここは、心が解放されるべき芸術表現をする場所だから。そうやってある程度伸び伸びと過ごしていただいていても、勿論導きあってのことですが、時と共にどの子もちゃんと座れるようになっていくのですから、子供の能力とは本当に凄いです。

教室の中を探検してまた戻ってきたり^^;、ママのところへ行ってベタ〜っとしてからまた戻ってきたり、関係のないお喋りが始まってまた集中力が戻ってきたり、とにかくまずは戻って来られればOKです。どの子も、ピアノレッスンが始まってだいたい1年半くらいまでは、そこそこ自由にしつつ(^^;;も、ブツブツ細切れの時間で集中できるようになっていきます。それが少しずつ繋がっていって、丸2年経った頃、「そういえば、すっかり集中できるようになったね〜」と、自由だった昔を振り返るのです。ただし、泣き叫んで嫌がったり、泣かないまでも全く教室に入って来られなかったり、いざ入ってこられてもレッスン時間のうちこちらが待っている時間の方が圧倒的に長くて、手を替え品を替え臨機応変に対応しても、予め準備していった事が1/3もできないようなら、やはりその子にとっては時期が早すぎたか、一旦リトミックをお勧めしたり、或いは習い事自体を見直す必要があるのかもしれません。

とりあえずは元気に来られる状況で、もし各ご家庭、他所様のレッスン風景をそれぞれご覧になったら色々な意味でお互い驚かれることと思います^ ^。あんらまぁ〜こんなに自由なの?とか、ほっほ〜う〜こんなに静かなんだね…とか、ヘェ〜こんなにお喋りなんだね><とか、こんなにじゃんじゃん弾きまくってるんだね…とか。2年、3年と経つにつれ自然とこちらの指針に染まっていかれることと思いますが、スタートラインから〜幼児期にかけては出来るだけ縛りつけたくないのです。その子から発せられているオーラ、感性、性格そのもののテンポ感というものがあり、それをしっかりと見極めたいと思っています。活発な子も、おとなしい子も、大人の前ではお利口さんな子も、そのもっと奥を見極める前にこちらの色を押し付けて、その子の感性やテンポ感を捻じ曲げフタをさせてしまうと、最終的には本当にその子が伸びていくべき伸び代を狭めてしまいかねないからです。

コンクールも然りで、小さな頃から周りの大人がかりで子供達を仕立て上げていく事は、協力的な親御さんのバックアップがあればそんなに難しい事ではありません。が、そのように鍍金を塗っていく日本独特のやり方にはどうしても首を傾げたくなるのです。賞を取れれば本人も嬉しいし、親御さんは何より嬉しい…教室や先生の株も上がるし良いことばかり…となりそうなものなのに、だったら何故こんなに疲弊していく親子さんが多いのでしょうか。人には伸びるペースがあり、時期があります。是非そのペースを見極めてあげたいです。娘が留学を終え帰国した時、次のように言っていました。「日本の子ども達・学生達はピアノに疲弊しているよねぇ〜。みんなどこまで音楽をやりたいのかなぁ」と。15年前の私には、見えなかった景色です…今は、本当にそう思います。きっかけは親御さんだったとしても、とにかく自分がやりたくて、自分が弾きたくて楽器を鳴らす日が来て欲しいのです。

ピアノという習い事は芸術で、ピアノを習っていれば情操的な事が養われ感性が育っていくと思われがちですが、いえいえ、学習塾やお受験のための幼児教室と何ら変わらない時間を過ごしている方は実に多いと思います。心は動いているか…、わくわくしてる?それともドキドキしてるのかなぁ〜。他人から見たらその動きは微かな小さな動きかもしれないけれど、本人にとってみたら本当に貴重で尊い一回の動きかもしれない…。そんな風に子供達の心の中をのぞいてみたいから、ひとまずスタートラインでは取り繕わず、出来るだけ自由に心に蓋をしないでお越しいただけると嬉しいです^ ^

いつか本物の音楽に近づく為に、思い切り心を開放して、存分に楽しんで音楽をしたいです!!

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